乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

小林時三郎『マルサス経済学の方法』

本書を紐解くマルサス研究者なら誰でも、44年前のわが国のマルサス研究の水準の高さに驚嘆するはずだ。他ならぬ自分のその一人である。B6版で240ページ。小著と言ってよい。エッセイ風の軽めの文体。だが、最初から最後のページまで、啓発力に富む議論が次々…