乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

中島義道『ひとを〈嫌う〉ということ』

8期ゼミのテキスト。HYSさんが選んでくれたもの。「脱常識の社会経済学――「あたりまえ」を問いなおす――」というゼミのテーマにぴったりマッチしており、しかも学部ゼミ生が親近感をもって読める内容(+気軽に買える値段)の書物は、本書以外にそれほど見当…

国分良成『中華人民共和国』

東アジア(中国)の勉強を本格再開させて2冊目に手に取ったもの。著者は慶大法学部教授で、現代中国・政治外交を専門としている。200ページほどの小著ながら、「中華人民共和国」という国の過去・現代・未来がたいへん要領よくまとめられている。専門家が読…

若林敬子『中国 人口超大国のゆくえ』

十余年ぶりに東アジア研究を本気で再開させることにした。その幕開けを飾るのが本書である。2月末に『イギリス保守主義の政治経済学』を公刊して、大学院進学以来の研究に一つの区切りをつけることができた。バークとマルサスを中心とした18世紀イギリス社会…