乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

小笹芳央『会社の品格』

某ベストセラーの二番煎じ、三番煎じのような書名のせいで、本書を手に取ることをためらう人も少なからずいるだろう。もしそうだとしたら、まことに不幸なことだ。新書・文庫の経営関係の本では、高橋伸夫『できる社員は「やり過ごす」 (日経ビジネス人文庫)…

野中郁次郎・勝見明『イノベーションの本質』

ゼミ・テキストとしてお世話になった『セブン-イレブンの「16歳からの経営学」』*1に先立つ、ジャーナリスト・勝見明と経営学者・野中郁次郎の(おそらく)最初のコラボレーション作品である。「DAKARA」「チョコエッグ」から「黒川温泉」や「千と千尋の神隠し…

菊池理夫『日本を甦らせる政治思想』

わが国において「コミュニタリアニズム」という政治思想は、最小国家を説く「リバタリアニズム」や市場(万能)主義を唱える「ネオリベラリズム」と比べると、十分に知られていないか、誤解され批判的に語られることがまだまだ多い。本書は、このような無理解…

野中郁次郎・紺野登『美徳の経営』

企業不祥事が多発するなか、企業倫理やCSR(企業の社会的責任)への関心が日増しに高まっている。本書は、来るべき新たな時代に求められる経営の資質を(共通善との一致を使命とする)「美徳」という概念によって、また、ビジネスリーダーの資質を(美徳を実践…