乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

小野善康『不況のメカニズム』

著者は、ケインズ『一般理論』に真正面から向き合い、ケインズ自身の論理展開に潜む混乱や欠陥を指摘・修正しながら、新古典派の考え方では論理的にありえない「需要不足」の発生メカニズムを解き明かす。*1総需要は投資需要と消費需要から構成されるわけだ…

村上正邦・平野貞夫・筆坂秀世『参議院なんかいらない』

3人の元参議院議員による鼎談を記録したもの。本書の趣旨はタイトルとは正反対で、本当にいらないと言っているわけではなく、今のようなお粗末な参議院ならいらないと憤っているのである。3人は政治的・思想的立場を大きく異にしている(かつての所属政党はそ…