乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

市川伸一『学ぶ意欲の心理学』

教育心理学への格好の入門書。第1章「動機づけの心理学を展望する」は心理学説史小史。第2章は精神科医・和田秀樹氏との討論、第3章は教育社会学者・苅谷剛彦氏との討論が中心。これら3つの章を通じて読者は、「教育心理学とはどのような学問なのか」「心理…

城山三郎『鮮やかな男』

先週実家に帰省した折りに、たまたま父の本棚にあるのを見つけて、そのまま京都へ持ち帰ってきた。中学しか出ていない父だが、経済や経営に関する教養はおそろしいほどに高かった。現場(自営業)の経験に加えて、経済・企業小説を猛烈に読むことによって、父…

ミヒャエル・エンデ『モモ』

現代ドイツを代表する童話作家の代表作の一つ。本書を手に取ったきっかけは、最近読んだ辻信一『スロー・イズ・ビューティフル』*1と三島憲一『ニーチェ』*2の両方で紹介されていたから。特に前者は4度も本書に言及する熱の入れよう。それもそのはず、両著作…