乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

黒井千次『働くということ』

この「乱読ノート」でかつて扱ったことのある同名書籍*1の中で紹介されていたのが、本書を知ったきっかけである。その同名書籍が6期ゼミのテキストに決まったので、授業準備の副読本として読み始めた。現在作家として活躍している著者(その小説を読んだこと…

畑村洋太郎『決定版 失敗学の法則』

失敗は必ずしも悪ではない。失敗しない方法を学ぶだけでは、新しいものを創造することはできない。失敗に正しく対応することで、失敗は創造的仕事のための格好のヒントとなりうる。そのような学問としての「失敗学」を提唱している著者がそのエッセンスを32…

鷲田清一『だれのための仕事』

現代日本を代表する哲学者(阪大次期総長)による労働論。本書の内容を僕なりにまとめるならば、以下のようになるだろうか。現代社会は、プロスペクティブ(前望的)な時間意識、および、効率性と生産性の論理が隅々まで深く浸透した《労働社会》である。わたし…

齋藤孝『スラムダンクな友情論』

井上雄彦のバスケットマンガ『スラムダンク』。著者自身が「心から惚れこんでいる」と告白し、「古典として読み継がれるべき作品」と断言までするこの名作マンガをはじめとして、古今東西の文学・マンガ・映画、さらには藤子不二雄ら実在の人物(有名人)のエ…