乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

高砂浦五郎『親方はつらいよ』

朝青龍、渾身の反省文つき 「親方、本当に申し訳ありませんでした!」 こんな帯の惹句に釣られて衝動買い。出版社の仕掛けた罠に引っかかってしまった。著者の高砂親方*1は、僕が子ども時代に絶大な人気を誇った元大関・朝潮。タレント本を読むような軽い気…

クシシトフ・ポミアン『増補・ヨーロッパとは何か』

著者はフランスで活躍しているポーランド出身の歴史家である。本書は、進行中のヨーロッパ統合を強く意識しながら、古代ローマから第一次世界大戦までのヨーロッパ世界〈分裂〉と〈統合〉を概観している。著者によれば、過去にヨーロッパ統合と呼びうる事態…

米盛裕二『アブダクション』

経済学方法論史をテーマとする共同研究に関わっている関係で、帰納と演繹との関係についての理解を深める必要が生じ、本書を手に取った。共同研究のリーダーであるHKD大のSSKさんが薦めてくださった本である。科学的(論理的)な思考(推論)の方法と…

佐藤真海『夢を跳ぶ』

川北稔『砂糖の世界史』、岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』、遅塚忠躬『フランス革命』など、「岩波ジュニア新書」のラインナップには専門的研究者ですら思わず唸ってしまうような碩学による啓蒙的名著が数多く含まれている。僕自身、その多大な恩恵を受けて…

まもなく更新再開

単著執筆が一段落しましたので、近日中に更新を再開する予定です。ゆっくり更新してゆきますので、気長にお待ち下さい。