乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

杉原四郎『J・S・ミルと現代』

第一人者の手によるJ・S・ミルの生涯と思想(特に経済思想)についての平易な解説書である。ミル思想の解説書は数多く出版されているが、『経済学原理』に十分なページを割いたものは案外少なく、この点において本書の価値は公刊から30年近い歳月を経ても…

鈴木亮・鬼頭明成・二谷貞夫『中・高校生のための中国の歴史』

タイトル通り、中・高校生向けに書かれた中国史の概説書である。古代黄河文明から人民中国(江沢民政権)にいたるまでの六千年の歴史が文庫本一冊の中にコンパクトにまとめられている。これはほとんど力技と言ってもよいだろう。高校世界史の参考書と違って…

上村幸治『中国のいまがわかる本』

著者は元毎日新聞中国総局長で、現在獨協大学外国語学部教授。本書はそんな著者が中学・高校・大学初年次生向けに書いた「現代中国論」(著者の担当科目)の入門書である。中国における愛国主義(反日?)教育の現状の報告を基軸としながら、中国の近現代史…