2月12日に突発性難聴を発症して以来、眩暈や吐き気の症状に悩まされており、読書が困難になっている。大学教員になってから、読書をまともにできない期間がこれだけ長く続くのは初めてである。とてもつらい。そんな中、通読できた2冊のうちの1冊がこれである。3回生のゼミテキストの物色を兼ねて。マンガながら、その内容のクオリティの高さに感心した。想定外の名著、最良のカント入門書である。(ただ、女性型アンドロイドが家政婦という設定は、ジェンダー平等の観点から、必ずしも問題なしとは言えない気もするが。)これを読んだ後で、黒崎政男『カント『純粋理性批判』入門 (講談社選書メチエ 192)』へと進むのが良いだろう。ちなみに、このシリーズ、何気に名作ぞろいである。『人口論』も本当によくできている。マルサス研究に従事して四半世紀以上の僕が言うのだから、間違いない。