乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』

新自由主義(市場原理主義)のバイブルとして名高いフリードマンの主著の新訳。自由市場の利点を様々な角度から解き明かし、国家権力(政府)の市場への恣意的な介入を厳しく批判している。本書(初版)の公刊は1962年だが、「まえがき」によれば、本書のも…

岩崎夏海『もしも高校野球の女子マネージャードラッカーの『マネジメント』を読んだら』

今では知らない人がいないであろう100万部突破のベストセラー。8期(4回生)ゼミのテキストとして選んだ時点では、まさかここまでの大ヒットになるとは想像だにしなかった。その内容は、タイトルから予想できるように、高校野球の女子マネージャーがたまたま…

神野直彦『「分かち合い」の経済学』

スウェーデン語の「オムソーリ」は「社会サービス」を意味するが、その原義は「悲しみの分かち合い」である。著者によれば、この「オムソーリ」という言葉を導きの糸として、日本社会をヴィジョンを描くことが本書の目的であるとのこと。同じ著者の『地域再…