乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

相原博之『キャラ化するニッポン』

本書を最初に通読した時の印象はあまり良いものではなかった。ヴァーチャルな世界がリアルな世界を呑みこみつつあるという認識それ自体は決して目新しいものではない。「アニメ」「オタク」「萌え」などの話題が絡んでいるところは今風であるが、そちらのほ…

野村総一郎『うつ病をなおす』

僕の周囲にうつ病の人が増えている。実際に増えているのか、「自分はうつ病だ」と公言しやすくなっただけなのか、どちらが真実に近いのか、僕にはわからない。両方とも真実なのかもしれない。友人・知人ばかりではない。10年も大学に勤務していると、「自分…

石井淳蔵『ブランド 価値の創造』

6期ゼミのテキスト(ゼミ生自身が選んだもの)として手に取った。現代社会の富の基本形態は、紅茶、石鹸、ティッシュ、カップ麺、シャンプーとかいった商品(マルクス『資本論』)というよりも、「リプトン」「アイヴォリー」「クリネックス」「カップヌードル」…