乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ミル『自由論』

思想史上に燦然と輝く不滅の大古典(原著1859年)の新訳。岩波文庫の訳文(塩尻・木村訳)と比較して、岩波側に軍配をあげる読者はほとんどいないのではないか? そう思えるくらいに、この新しい訳文は流麗で親しみやすい。本書に表明されている自由観のうち…

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

漫画家・西原理恵子さんが自らの半生を「お金」についての思索とともに綴ったエッセイ。中高生向け新書「よりみちパン!セ」シリーズの一冊として公刊された。*1高知県の貧しい漁師町に生まれ、複雑な家庭事情のもとで育った著者は、高校中退後、大好きな絵…