乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2005-12-16から1日間の記事一覧

レヴィ=ストロース『悲しき熱帯Ⅱ』

Ⅱ巻に入ると、本書は探検記としての性格をいっそう希薄化させていく。章を追うごとに、著者自身の意識の流れを描写する叙述の比重が増えていく。「根源に遡ること」(p.416)が民族学者の常なる野望だと考え、「野蛮の極点にまで到達したいと望」(p.263)む著者…