乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2008-05-28から1日間の記事一覧

岩井寛『森田療法』

著者は1986年にガンのために55歳の若さでこの世を去られた精神医学者である。本書は生前最後の作品で、口述筆記によって著された。すでに著者の身体は末期ガンに侵されており、腫瘍が全身に転移して神経を圧迫し、下半身はまったく動かなくなっていた。左耳…