乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2009-09-07から1日間の記事一覧

辻井喬『新祖国論』

辻井喬(堤清二)は、日野啓三と並んで、学生時代に最も惚れこんだ作家で、かつては新作が出るたびに貪るように読んでいた。僕にとって、日野作品のいちばんの魅力が、(無意識をも含めた広い意味での)意識の流れを言語化しようとする真摯で執拗な営みにあ…