乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

2010-02-04から1日間の記事一覧

城山三郎『彼も人の子 ナポレオン』

ナポレオンの生涯を描いた中編の評伝である。「あとがき」によれば、著者はナポレオンを「神の子」や「時代の子」として描くことに興味はなかった。「かねて気になる存在」であったこの人物の、「正体まで行かなくとも、ちらっとでも素顔を見てみたい」(pp.…