乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

小倉正行『TPPは国を滅ぼす』

読んだ順番の問題にすぎないのかもしれないが、廣宮孝信『TPPが日本を壊す』と中野剛志『TPP亡国論』を読んだ後では本書を読む必要はなかったように思われた。本書に書かれている内容(TPP参加反対の根拠)の大半は先の2冊に書かれており、目新しいところがない。*1新しい知見はほとんど得られなかった。本書のメリットを挙げるならば、TPPをめぐる国会での議論が記録されていることにある。叙述は平易で読みやすいが、これを読むのであれば、先の2冊のほうを読むべきだろう。

TPPは国を滅ぼす (宝島社新書)

TPPは国を滅ぼす (宝島社新書)

評価:★★☆☆☆

*1:ただし「食料主権」についてはやや詳しい叙述がある。