乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

清水克彦『人生、勝負は40歳から!』

40歳まで残り1年半。「40代の挑戦が後半の人生を約束する」という帯のコピーに惹かれて衝動買いしてしまった。

著者は文化放送プロデューサー。これまでの自分を「少しだけ」見直すためのヒントを、著者自身の体験談を交えながら伝授しようとする、いわゆる「自己啓発本」である。目次を紹介しておく。「ちょっと」がポイント。

  • 心の持ち方をちょっと変えよう(第1章)
  • 時間の使い方をちょっと見直そう(第2章)
  • 人付き合いをちょっと工夫しよう(第3章)
  • 日頃のコミュニケーションをちょっと修正しよう(第4章)
  • 見た目をちょっと良くしてみよう(第5章)

具体的な内容はこんな感じ。「どうせ」「今さら」「遅い」は禁句。「ツイてる」は魔法の合言葉。何事も7割できればOKだ。睡眠時間をしっかりとろう。目先の損得を考えず未来のための人脈を作ろう。人に会った数だけ人生は良くなる。人に与えることが成功の秘訣。相手を嫌ってはいけない。わずかな気遣いで相手との距離が近くなる。「やる気がある人」「頼れる人」に見せよう。早めにNOと言えば安く見られない。時には孤独も大切だ。身なりを良くすれば、あなた自身も周囲の視線も変わる。等々。

これらの大半は、僕自身が日頃から実践を心がけていることでもあり*1、「目からウロコ」は皆無だった。頭の整理には少し役立ったかもしれないが、「700円+税」だけの価値ある内容かどうかは疑問。自己啓発本としては、アレクサンダー・ロックハート『自分を磨く方法』*2のほうが格調高くてよいと思った。

人生、勝負は40歳から! [ソフトバンク新書]

人生、勝負は40歳から! [ソフトバンク新書]

評価:★★☆☆☆

*1:特に人間関係についてはかなり強く意識している。必ずしもすべてを実践できていないけれども。

*2:http://d.hatena.ne.jp/nakazawa0801/20060503