乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

イギリス思想史を研究する大学教員の読書ノートです。もともとは自分自身のための備忘録として設置したものですが、「隠れ名著、忘れられた名著に関する情報を学生の皆さんに発信したい」というささやかな期待もこめられています。

北岡俊明『ディベート入門』

ディベートの入門書。Amazon.co.jpには辛口のレヴューが並んでいるが、僕の本書に対する評価はそこまで低くない。

ディベートを「知の方法論」であり、「ホワイトカラーの生産性[=意思決定の生産性]を高めるための技術」だとする著者の立場に、僕は強い共感を覚える。千里山大経済学部を卒業して企業に就職する学生の大半は、ホワイトカラーとして社会人生活を送ることになるはずだ。ディベートによって養われる技術が彼らが社会人生活でいちばん必要とされる技術であるならば、大学でディベートの授業を行うことの実践的な意味がいっそうはっきりと見えてくる

論理構築の方法(雛型としてのディベートストーリー)、反対尋問の仕方、および、ディベートの話し方の技術についての指導はかなり丁寧で、有益である。

ディベート入門 (日経文庫)

ディベート入門 (日経文庫)

評価:★★★☆☆