衝動買い、衝動読み。初めての石田衣良体験。
45歳で更年期障害を抱えてしまった版画家咲世子と28歳のウェイター(実は新進映像作家)素樹との短いけれども濃密な愛の日々を綴った恋愛小説。Amazon.co.jpのレヴューでの評価はきわめて高かったが、僕には合わなかった。主人公に共感(感情移入)できなくて困った。
二人とも不安を抱えて生きているが、不安の正体に気づいている。自分がとっている行動の理由をはっきりと認識できている。そういう意味では「主体」は脅かされていない。意識がはっきりしすぎていて、「主体」が崩れ落ちそうな「狂おしさ」があまり描き出されていないように感じられた。
もちろん、そういう狂おしい恋愛だけが恋愛でないことはわかっている。ただ、恋愛小説に限らず、僕は意識の流れを丁寧に追いかけた小説が好きだ。特に「主体」の「揺れ」「危うさ」を緻密に表現してくれている類いのものが。だから、良い悪いではなく、趣味の違いとしか言いようがない。
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/27
- メディア: 単行本
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評価:★★☆☆☆