すでに採りあげたスティーガー『グローバリゼーション』*1と同じく、オックスフォード大学出版会の「一冊でわかる」シリーズ(very short introductionシリーズの日本語版)の中の一冊である。『グローバリゼーション』と同じく、いかにも教科書的な叙述で、退屈さは否めない。
著者は、人間と動物との関係を考えるに際して、「功利主義」も「スライディング・スケール・モデル」も退けて、動物に固有の「(平等な配慮に値する)道徳的地位」を認めようとする。本書の前半ではその「道徳的地位」についての哲学的考察が行われる。後半では前半の議論にもとづいて工場畜産や動物実験の不当性が説かれる。ペット飼育や動物園(水族館)や養殖などにもかなり厳しい批判が向けられている。
水族館でのイルカの展示も、イルカの基本的ニーズを満たしていないため、著者の認めるところでない。商業捕鯨については何も述べられていないが、言わずもがなである。幼い頃から鯨料理が好きな*2僕には読み進めるのがかなりつらい本であった。
- 作者: デヴィッド・ドゥグラツィア,戸田清
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/09/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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評価:★★★☆☆
*1:http://d.hatena.ne.jp/nakazawa0801/20080401
*2:ぜいたく品なのでたまにしか食べられないけど。