来年度の「経済学説史」講義では、「新自由主義(ネオリベラリズム)」を主題として講じる予定である。必然的にミルトン・フリードマンをキー・パーソンの一人として採りあげることになるので、予習を兼ねて読んでみた。
本書はフリードマンの経済学説の解説書と言うよりも、フリードマンを総帥とする「現代シカゴ学派」がアメリカ経済学界を席巻していくプロセスを、「現代シカゴ学派」以前の(フリードマンの師であるナイトやヴァイナーらが率いた)「シカゴ学派」と対比しつつ描き出そうとしている。
これまで読んだことのある根井氏の著作*1と比べると、本書のできはいま一つ。全体のまとまりが悪く、異なる機会に書かれた文章を無理やり一冊の本に押し込んだかのような印象が強い。著者の力量をもってすれば、もっと深い議論が展開できたはずだ。個人的には、第4章「フリードマン以前の「シカゴ学派」――F・ナイトの「適度な懐疑主義」」の議論を一冊の本に拡張してもらいたいのだが・・・。
- 作者: 根井雅弘
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 新書
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