かつて売上高で全米第7位を誇った世界有数のエネルギー企業エンロンは、2001年12月に634億ドルもの負債を抱えて破綻した。本書はこの大企業の膨張と破綻のプロセスをわかりやすく(マンガなので当然だが)描き出している。
投機的な取引に失敗し、損失を連結決算対象外の子会社(SPE、特別目的組織)に押し付けることで、財務状況の健全性を装い、株価を高値へと操作し続けるという手口は、典型的な粉飾決算の手口(しかも会計事務所も共犯していた)で、何のドラマも感じられない。しかし、マクロ経済におけるバブル経済の膨張と破綻と同じで、忘れた頃に必ず再演されるこのような悲劇とも喜劇ともつかない三文芝居こそ、人間の欲深さと愚かしさを我々に反省させ、「健全な経済とはどのようなものであるべきか?」という問題を我々に思い出させてくれるものだろう。
なぜ巨大企業はウソをついたのか―エンロンが見せた虚像と実像 (PanRolling Library)
- 作者: 清水昭男,広岡球志
- 出版社/メーカー: パンローリング
- 発売日: 2008/01/10
- メディア: 文庫
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評価:★★★★☆