日経CSRプロジェクトから刊行される3冊目の書籍だが、一冊目『CSR 企業価値をどう高めるか』、二冊目『CSR 「働きがい」を束ねる経営』よりも結果的に先に読むことになった。
本書は、プロジェクト参加企業(オムロン、佐川急便、住友林業、東京海上日動火災保険、三井住友銀行など)の社員たちのインタビュー記事、および、大学・高校への派遣授業のルポを中心に構成されている。社員たちには、自社のCSR活動ではなく、自身の働きがいを語ってもらっている。それは「企業人が働く意義を次世代に伝えることこそCSRの重要な要素だ」という趣旨から本書が編まれたためである。
一つ一つの記事が短いために議論の展開が淡白で、その点が不満であるが*1、働くことの喜びの源泉として社員たちの多くが共通して挙げるのは、「他の誰かの役に立っていることが嬉しい」「この仲間と切磋琢磨できることが嬉しい」「自分自身の成長を感じられることが嬉しい」などである。これらこそが「働きがい」の本質を形成する要素なのだろう。
「やりがいの持てる組織から「よい会社」が生まれる 使命感、喜び、夢、達成感、誇り――日々の仕事で抱く想いが、CSRにつながる!」という帯のキャッチコピーには、100%の賛意を表明したい。
- 作者: 日経CSRプロジェクト
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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評価:★★☆☆☆
*1:ソーシャル・キャピタルに対して中途半端に一章を割くくらいなら、それをメイン・テーマに据えた別の一書を編み、そのぶん個々の記事を長くするほうが良いだろう。