著者は元警察官僚で現在は弁護士として活躍している。本書はそんな著者によるコンプライアンス経営に関する入門書である。ここ数年に発生した企業不祥事の実例(ライブドア、三菱自動車、雪印、西武鉄道、松下電器、パロマ、耐震強度偽装、ダスキンなど)を分析し、「企業が対応に直面している内部統制システムの整備について、その中核となるコンプライアンス及びリスク管理を企業の中でいかに浸透させていくか、あるいは危機発生時にいかに的確に対応していくか」(p.7)を解説している。
決してできの悪い本ではないのだが、國廣・五味『なぜ企業不祥事は、なくならないのか』*1という同系統の好著がすでに存在しており、それと比べると本書は見劣りする。記述が表面的かつ平板で、つっこみ力の不足を感じる。『なぜ企業不祥事は・・・』をすでに読んだ者なら本書を読む必要はないだろう。新しい知見を得られそうにないからだ。
- 作者: 後藤啓二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/09
- メディア: 新書
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評価:★★☆☆☆